工房秘話

誇りと心意気

2012年11月20日

バッグを作る作業は、切ったり縫ったりするだけでなく、素材をそろえたり確認したりなどたくさんの時間と手間がかかります。

そこで、先日一番人気のHugシリーズを担当しているトフィックに
「あなたに一人アシスタントをつけようと考えているんだけど」と提案したところ
「僕が全部やるから大丈夫!」と断られてしまいました。
彼らは今、出来高制で働いていて、アシスタントをつけてたくさんの数を作ることができればそれだけ稼ぎも増えるので、これはちょっと意外な回答でした。
そこで理由を尋ねたところ、
「どんな仕事でもアシスタントには任せられない。このバッグは日本へ輸出するものなんだから小さな汚れや傷も許されないでしょ。なにもわからないアシスタントに任せて、何かあったら大変だ。準備も片付けも僕が全部責任を持ってやるんだ」といわれてさらにびっくり。

2年前、仕事をはじめてお願いしたばかりの頃は、一つ注意されるたびにイライラして、
「どうしてヒロコはそんな細かいことばかり言うんだ」「そんな小さな傷誰も見ないよ!」「そんなもうやめてやる」…と言い争いになっていたのに、気がつかない間にすっかり本物の職人の「誇り」と「心意気」を身につけていたようなのです。

変わったのは仕事に対する姿勢だけではありません。彼は実は元ストリートチルドレン。複雑な過去もあって、繊細で警戒心が強く、以前はあまり人をよせつけないようなところがありました。よけいなことはあまり話したがらず、いつも一人ぼっちで、すみのほうで仕事をしたがっていたりしました。
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でも、最近、この工房で皆と明るくおしゃべりをしたり、私にも気軽に軽口をいってきたりと、笑顔でいる時間のほうがすっかり多くなったみたいなのです。
先日、帰宅しかけていた別の工房のスタッフに「あ、もうちょっとで僕も終わるから一緒に帰ろう!」と自分から話しかけているのをきいて、なんだかこの2年で本当に別人になったみたいだなあ…と感慨深い気持ちになりました。

彼は本当にものを作るのが好きなようで、天職とも言えるこの皮職人の仕事を全うすることの喜びが、彼を明るく、ポジティブに変えたのかもしれません。

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そんな彼が一生懸命作ったバッグが今日たくさん完成しました!!

これからまとめて日本に送ります!
ご予約いただいていたお客様、どうぞお楽しみにお待ちください。

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