工房秘話

3回泣いた日

2012年1月31日

今日はじめて現地パートナーと言い争いをした。

そもそもの発端は、今かりているショップ兼工房の隣の部屋を又借りできることになったこと。
前払いするにあたり、簡単な契約書を作ろうと提案したのだけど
エチオピアのローカルビジネスの経験しかない彼女にとって、契約書を作るということイコールその人を信頼していないということになるようで
「そんなことをしたら彼らも私たちを信頼しなくなって、別の人に又貸ししちゃう、絶対契約書なんて作るべきではない」と聞かない。

ビジネス上の契約では契約書が必要なのだ、本来は私とあなたの間にも契約書が必要なのだという話から、お互いの信用の話になり、
「ヒロコはいざとなれば日本に帰ればいいのだろうけど、私はこの国でずっと生きて行かなきゃいけないの。だから失敗したくないの!外人のあなたとは違うのよ!」
と言われてしまった。

「私だって会社辞めて、死ぬ気でこの仕事をはじめたんだよ。いままで働いてきてためた全財産をつぎ込んで、それでも足りなくて、いつか私が結婚するときのためにと両親がずっと貯めていてくれたお金を頭を下げて借りて、周囲の人たちにもたくさん出資してもらって、この仕事に全てをかけてる。失敗したなんていって帰れない。帰るところなんてない。日本にかえればいいなんて二度と言わないで」話しながら、自分がこれまでどんな思いでこのビジネスをしているかが全く伝わっていなかったことが、悲しくもあり情けなくもあり、涙が止まらなくなっていた。

何故そんなにお金がかかるのかと聞かれ、百貨店やオンラインストアでかかる手数料、輸送や検査にかかる諸費用、税金や自分の渡航費などについてあらいざらい話した。
また、今の製造数を維持しているだけでは赤字で、黒字化するためには最低今の1.5倍の製品を製造することが必要だとも伝えた。

実はそれまでは、使った金額もこれから使う金額も、払うのは自分なのだし、パートナーには伝えないほうがいいだろうと思い、黙っていたのだった。彼女がもともと細かいお金にもかなりシビアなこと、一方このビジネスに必要な経費は、貨幣価値の異なるエチオピアでそれは相当高額になることなどから、彼女が怖がったりプレッシャーを感じたりしてしまうだろうと思っていたからだ。

パートナーはしばらく考え込んでから
「そんなにたくさんのコストがかかるなんて知らなかった。たしかに私、今のこの数を作るのだって大変なのに倍も作れる自信がない。品質を下げればたくさん作れるけど、日本はそれじゃだめでしょう。…でもやるしかないよね。今まで以上にがんばらないといけないけど…ヒロコがそこまでかけてくれてるんだから。でもヒロコ、これからは全部私に言わないとだめだよ。私たちパートナーなんだからね。一緒に仕事してるんだからね」
私はそれを聞いてまた涙が止まらなくなってしまった。

その日、なんとなく気まずいような照れくさいような気持ちで一緒に工房へ出かけたら、いつもは態度の悪い、元ストリートチルドレンの職人さんが、ご機嫌な様子でこうつぶやいるのが聞こえた
「ファレンジ(外国人)とアベシャ(エチオピア人)が一緒に仕事するといいね、どっちかだけで作るよりいいものが作れるね」
実は、作り直しを重ねながら何ヶ月もかけて開発していたオリジナルバッグが
昨日の夜、やっと完成したのだ。
それを聞いて、私はまた泣いてしまい、皆に笑われてしまった。

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