工房秘話

FAMILY

2012年8月10日

何度かこのブログにも登場している、職人トフィック。
もともと根はとても優しくていい子なのだけど、複雑な生い立ちもあってか、繊細で気難しく、折にふれ、まだ私のことを警戒していて、完全には心を開いてくれてないんだなあと感じることがありました。

ちょっと注意するとすぐにキレて、「自分のせいじゃない!ヒロコがきちんと説明しなかったからだ!」「この難しい革を選んだヒロコが悪い」「こんなデザインやりたいやつなんていない!」なんて100倍返しの勢いで攻撃してきたり、「こんな仕事やってられない、もう辞めてやる」と脅してみたり。

それでも「いいものを作りたい」という思いは他の現地職人と比べるとずば抜けて強いのがわかっていたから、「私の仕事には君の力が必要なんだよ」ということをずっと伝えながら辛抱強く指導したり接したりしてきました。

今回の滞在期間中、そんな彼と仕事をするなかで
「あれ?なんか心ひらいてくれてるんだな」と感じることが何度かありました。
今も何かを注意して、素直に
「わかった。ごめんなさい」
と言ってもらえることはまずないんだけど、そのあとのリアクションから、どこかで以前よりちゃんと私を信じてくれているような気がするのです。

また注意するだけでなく、仕事が上手くいったときは必ずほめるようにしているのだけど、
そんな時もやはり、以前とくらべて素直に、手放しで喜んでくれているみたい。
大の大人が仕事で褒められてこんなに露骨に喜ぶなんて、おもしろいなあと感じるときもあるほどだけど、
嬉しそうな彼を見てると私もうれしくなって、結局一緒になって笑ってしまいます。

彼は親や家族と一緒に住んだことがほとんどなく、ずっと、ストリートで結構しんどい生活を強いられてきて、こうやって誰かに必要とされたり、大切にされたりすることがなかったのかもしれません。

彼をはじめ、今andu ametで働いてくれているスタッフは皆、今や私にとって、家族同然。
これからもずっと彼らが幸せに暮らしていけるように。
一時のトレンドに左右されることなく、これからもずっとビジネスを継続していけるように。
彼らと一緒に、私自身も努力し、学んでいかないと…と
言葉ではうまく表すことができないけど、そんなふうに思っています。

DSC_0004

You Might Also Like