エチオピア伝説

靴磨きの少年のはなし

2012年8月4日

エチオピアには靴磨きの少年がたくさんいます。

空き缶に川の水をくんで、堅く絞ったぞうきんで靴の泥を拭き、ピカピカに磨き上げて、2~3ブル(約10-15円)。
空きカンとボロ布があればはじめられるので、親のない子や極貧の家の子たちの多くは、ここからキャリアをスタートさせます。

そうやって少しずつ稼いだお金をもとでに、ブラシや靴クリーム、靴をのせる台、お客さんのためのパラソルなど少しずつ買い足していくと1回5~10ブル(約25-50円)稼げるようになります。

エチオピアには物乞いもたくさん多いのですが、そうではなく、自分たちの力で生きようとしている彼らを見るといつも勇気をもらえるので、私も靴が汚れたらできるだけ磨いてもらうようにしています。

今日は、現地の友人から聞いた、ある靴磨きの少年の話をひとつご紹介します。

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彼女が子供の頃、家の近くに一人の靴磨きの少年がいました。
着ているものは祖末ながらもいつも清潔に洗濯されており、礼儀正しく仕事も丁寧なので、彼女のお父さんはいつも彼をひいきにして、どこか違う場所で靴が汚れても、帰宅してから彼に靴を磨いてもらっていたそうです。

それから何年かたったある日、彼女の妹がある英語学校を訪れたら、教室のはじっこに、なんとその靴磨きの少年がいて、熱心に授業を受けていたそうです。
聞けば、人の紹介でその英語学校で清掃夫として働かせてもらえることになり、そこで無料で授業を受けさせてもらえることになったのだとか。

そこからさらに数年後、今度は彼女自身が偶然ミニバスの中で彼と隣り合わせに。
今は語学力を活かしてヒルトンホテルのドアマンとして働いているとのこと。
当時のヒルトンは、シェラトンに次ぐ超一流ホテルで、そこで働くということはかなりのステイタスだったはずでしたが、彼はそんな気配は微塵もみせず、相変わらず清潔な服をきて、感じよく、世間話の中で、ホテルに長期滞在しているアルゼンチン人に気に入られて、空き時間にタンゴを教わっていると話してくれたそうです。

それからまたまた数年後の今。
彼はエチオピアのタンゴダンサーとして、そしてタンゴをエチオピアに広めた第一人者として、当地で知らぬ人はいないほどの有名人になっています。多くの劇場や高級ホテルでショーを開催しているほか、ダンススクールの経営もしているそうです。インタビュー記事によれば、件のアルゼンチン人に才能を見出され、彼の帰国の際、付き人兼見習いとして一緒にアルゼンチンに渡航したとのことでした。

話だけきくとハリウッド映画なみのサクセスストーリーですが、この国で簡単にいくことなどなにひとつありません。
靴磨きのときにそうだったように、英語学校でもヒルトンホテルでも、そしてダンスの世界でも人一倍熱心に努力して、それが認められたからこそ、次々と周囲の人が手をさしのべてくれたのでしょう。
そんな彼の活躍をテレビや新聞で見るたびに、私の友人は幸せな気持ちになるそうです。

 

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