Philosophy 工房秘話

援助と自立、本当の幸せ

2013年2月25日

「The road to Hell is paved with good intentions
(地獄への道は善意で敷き詰められている)」

この国には多数のNGOが存在する。
死に至る病に冒され、でも貧しさのために療養することもできない人々が
暖かく最後を迎えるためのホスピスや
エイズ患者のためのシェルター兼職業訓練所など。
私もいくつか見学したことがあるが、
この国の行政の手がまだまわりきらない部分を陰で支える
素晴らしいNGOがたくさん活躍している。

でも…その一方で、能力も将来もあるひとたちをスポイルしているだけとしか思えない機関も少なくない。

あるNGOでは、”彼らが貧しいと認めた人々”に毎月800ブルを配っている。
800ブルというのは現地では土木工事の工夫や食堂のウエイトレス、家政婦らの平均的な月収をはるか上回る額だ。
「なにもせずにこれだけの現金を毎月もらえるのにわざわざ額に汗して毎日働く必要などない」
と考える人々が出てしまうのを、誰も責めることはできないだろう。

実は私が不在の間、ふたりの職人が辞めてしまったのだが
そのうちの一人は、今このエイドを受給しているという噂を耳にした。
(仕事に就いていて安定した収入があるとこのエイドを受けることができない。)
何も説明せずにある日からいなくなってしまったので真偽を確かめるすべはないが、
他の職人から聞いた話など、様々な状況をつなぎ合わせると、その可能性は高いと思っている。

彼女は若く、素直で、世界中のものを見ることができる目も、誰かの言葉に傾けるための耳も、新しい物を作りだす手も、未来へ踏み出すための足もあった。

どうして時に援助の世界の人たちは、可能性のある人たちを
援助なしでは生きられない世界へ、追いやってしまうんだろう?
その先に、何があるというんだろう?
本当の幸せとは何だろう?
かつて、青年海外協力隊としてはじめてこの地を訪れた時に抱いた疑問に対して、
10年かけて出した自分なりの答えが今の事業だった。

自分の力で稼ぎ、生きることではじめて手に入る自由。
だれかに頼るのではなく、頼られる喜び。
最高品質のものづくりに従事することの誇り。
それらを通して世界中のユーザーたちとつながれるという一体感。
それらは、一見楽なようにみえる寄付や援助よりずっと価値があるものだと仕事を通じて伝えたかった。
けれど…彼女には伝えることができなかった。
もっともっと皆に楽しさややりがいを感じてもらうにはどうしたらいいだろう。
もっと魅力的な職場にするために、できることはなんだろう。

まだまだ、これからもずっと、考え続けなければいけない。
自己満足ではなく、本当に、関わるすべての人に幸せになってもらえるために…。

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